
大分県・竹田市主催「祖母山麓トライアルワーケーション」で僻地の活用を学んできました。
ご無沙汰しています。 Tomomiです。
先日、大分県竹田市にて「祖母山麓トライアルワーケーション」が開催され、お誘いいただき、参加してきました。今回は大分移住計画・福岡移住計画からも数名が参加。地域を堪能しながら仕事をすることはもちろんのこと、「ファミリー」や「友人同士」という単位で行うとどうなるのかという実証実験を一緒に行いました。私もファミリーで参加。6ヶ月のベイビーと、2歳の彼氏(愛犬)、そしてパートナーと共に参加させてもらいました。


そもそも、ワーケーションとは?
Work × Vacation = Workcation ワーク(仕事)+バケーション(休暇)
を組み合わせた造語で、観光地やリゾート地でテレワークを活用しながら、働きながら休暇をとる過ごし方。在宅勤務やレンタルオフィスでのテレワークとは区別される。働き方改革と新型コロナウイルス感染症の流行に伴う「新しい日常」の奨励の一環として位置づけられています。(via:wikipedia)*日本ではworkationやworcationと使われがちですが、海外ではworkcationが一般的。
海外では既に10年ほど前から取り組まれ始めていて、有給による長期休暇を取りやすくするために普及したそうで、アメリカあたりから始まったこの考え方をうまく取り入れた施設やサービスも数多く存在します。
日本ではそもそも休暇自体が短く、会社の福利厚生的に旅行との抱き合わせで大手企業が始めたそう。2020年の社会情勢が後押しし、一気にテレワークとこの言葉がセットで広まり、今に至ります。
私自身は、約9年前に独立して以来、ずっといわゆるノマドで、テレワークで、ワーケーションみたいな生活だったので、特に特殊と思ったことはないですし、もしかすると離島は結構そういうフィールドがあった方かもと思いつつ、日本でこうやって広まったのはいいなあと。
そんなワーケーションを、大分県の中でもかなりの山奥である「祖母山」にて行おうというのが、今回のトライアルでした。離島移住計画としても長崎県新上五島町、西海国立公園ど真ん中にあるキャンプ場施設を指定管理をさせてもらっている「Re-harmo PJ」もある中で、同じような“僻地”として共に学ぶことが多いだろうということでお呼びいただきました。
舞台は湧水たっぷりの大分県竹田市。

大分県竹田市は、岡城や城下町、長湯温泉で知ってるという人もいるかもしれません。 場所はここ。 山に囲まれた地形で、湧水も多く、家庭の水も湧水だったりするような自然豊かな場所です。 九州の方はああなんとなくあの場所かとわかるかもですが、まだ九州を知らない方は「九州の真ん中らへん」と思うとわかりやすいかも。
今回はこの南に位置する4市町にまたがった「祖母・傾・大崩ユネスコエコパーク」にある廃校利用してできた「あ祖母学舎」にて、2泊3日で開催され、8組のファミリーと、会社で来たチームと混合で行われました。

「あ祖母学舎」はかつてこの地域に子供が増えた頃、地域の方々がお金を出し合って作った学校で、11年ほど稼働し、子供が減ったために廃校になったものを、改めて自然体験宿泊施設として改築されました。現在管理されている方の中にもこの学校出身という方がいて、当時を振り返りながら嬉しそうに山々を教えてくれるので、こっちもなんだか楽しくなってしまいます。


中に入ると、まさに学校そのもの。とはいえ、なんとなくどこからでも居場所を感じられるほどのサイズ感が心地よいこの場所は、地域の方々がどれほど子どもを思って作ったかよくわかります。例えば日の入り方。どこにいてもすごく気持ちよく日が入るので、冬でもポカポカ。木目の床や壁も相まって、なんだか包まれてるな〜と感じる空間。

集まるときや食事は玄関すぐのこの部屋でいただきました。WiFiも電源もあって使いやすいのはもちろん、置かれている椅子の可愛さもここを引き立ててくれていました。窓を開けると山の気持ち良い空気が入ってきて、仕事しながらも深呼吸ができる。そんな場所です。

今回は、親子をテーマにしたワーケーションなだけに、随所にみられる小さな配慮がとてもうれしかったです。例えばこれ。「おむつ用のゴミ箱」。そうそう、日本で移動してていつも苦労するのはこのおむつどこに捨てるの問題。コンビニや公共のゴミ箱では大抵NG。トイレでもおむつ捨てないでというところも多いんです。大したことないかもしれないけど、あるとないでは大違いなのをわかってくれてるこの感じがすごくうれしかったです。

そして何より今回うれしかったのはこれ。予約のいらない預け放題の託児があったこと! 全国各地にある「ファミリーサポート」制度。まさに地域で子どもを見守れるこのサービスを利用して、期間中自由に預けられるというのは大きかったです。遊べる年齢くらいになれば、ある意味野に放って置けるかもしれませんが、テレワークは世のお父さんだけがしているのではなく、両手に子どもを抱えて、家の中に籠もらざるを得ないお母さんたちや、それ以外の理由でオフィスに通うことができない人など、バリエーションは様々あり、後者になればなるほど、ワーケーションして息抜きしながら仕事ができたら、、、と思っている人は多くいますが、実行にできない理由の1つにそういった方がへのサポートがなかなかないということが課題ではあります。
観光ツアーもそうですが、基本的には「健康的で自分で如何様にも自由に動ける人」が対象であることが多く、そのパイばかりを競い合うことが多いですが、実際にワークやバケーションをしたいのは、必ずしもそういう方々だけではありません。
今回のトライアルでとても学びになったのは、こういった課題を「地域人材・資産」で解決しようと試みているところでした。

祖母山は、濃密な自然が残り、渓谷の水が走る穴場な山。
まず「祖母山」と聞いて、山好きでない限りは、なかなか場所を思い浮かべるのは難しかも。まずはこの地図で場所を確認してみましょう。
そう、ここです。 大分・宮崎・熊本の3県境に位置し、祖母傾国定公園の中核。ニホンカモシカの生息地でもあり、渓谷が走る濃厚な自然がある山です。

今回の2泊3日の滞在の中でも、地域の有志による山を楽しめるよう守ってくれている「MMS21」の方々がガイドとして案内してくれるトレッキングツアーがありました。 「初心者や子供でも大丈夫だよ!」とのことで、生後半年のベイビーを連れて登ったところ、登り始め早々から圧巻の大自然に一同驚愕。数分登っただけで出てきた滝や、山道に寄り添う渓谷。 そりゃあもう、空気は 写真で撮るのも忘れてしまうほど雄大なその姿に、ワーケーションのワークをすっかり忘れてしまいそうになるほど。子供たちはもちろん大喜びで山の中を駆けずり回り、大満足。



トレッキング中も、始まる前も後も、MMSの方々ががっしりサポートしてくれるので、アウトドア初心者や子連れで不安な方々も安心して参加できました。


気分は大人の修学旅行。
竹田を知らない方々も多いので、地域の方々を中心に竹田穴場ツアーもやってもらいました。自営業のメンバーも多く、1日の中で休むのを思わず忘れがちになることもしばしば。それもあったのか、「誰かが引っ張って連れて行ってくれる」という時間があることで、肩の力を抜く時間を作ってもらえるのはありがたかったです。特に子育てをしているママフリーランスは、自由に見えて案外パッツパツに時間を仕事と子供に取られていることも多いので、こんな感じで羽をのばせて気持ちよさそうでした。気分はまさに「大人の修学旅行」。




よくある観光ツアーは自然や施設をみて終わりですが、今回は「今後竹田市がどうして行こうか迷っている施設の視察」なんてのも盛り込まれていました。ツアーにもこんな仕事要素があると燃えるメンバーもいたり、例えばそれが単にバケーションを過ごすだけでなく、後の協働につながったりするので、ただおもてなしするのではなく、「地域に関わっていく仲間」のような感覚で受け入れてくれたことが、とても心地良かったです。

バケーションではありますが、昨今の旅事情はかつての「お客は神様」主義ではもうないので、過度なおもてなしは実は不要だと思っています。むしろ「いつもの暮らしにお邪魔させてもらう」「初めての地で一緒に何かができる」という要素がある方が、ガイドブックやwebにはない経験がたくさんできルシ、豊かな時間を過ごせたと思えることは、また来たくなる理由を生むなと。今回時間に豊かさをブレンドしてくれたのは紛れもなく関わってくれた地域の方々。何をしたではなく、どんな時間を過ごせたか。この思い出が強く残っています。
パパが活躍できる時間は結構大事。

トライアルということもあり、内容はてんこ盛りな方ではありましたが、もう1つよかったなと思うことがあります。それは「パパが活躍できる時間があったこと」。今回は「自然のものを使ったお面づくり」。
ママを大切にするのはもちろんだし、いつも苦労の多いパパがゆっくり休むのも大事。その上で、どこかの時間に少しだけ「パパがかっこいい」時間があったのはよかったなと思いました。もちろん、パパに限る必要はないですが、「仕事ばかりの人」とどうしても思われがちなパパが仕事を置いて一緒に何かしてくれる思い出作りができるっていいなと思いました。また、こうしてる間にママも仕事ができるのはありがたい話。ワーケーションはパパ教室にもなるのかもしれないですね。

地元の方による食事やコーヒーがあるのは嬉しい。

仕事や子育てが忙しいと、ここをさぼれたらいいのになと思う家事として「料理」って結構上位のような気がします。特に街中ではなく、山やそれこそ離島など徒歩圏内に食事処がない!という場合は多いはず。
今回は朝昼晩と地域のお母さんたちが集う「ひまわり会」の皆さんが丁寧に作ってくださいました。風土料理も美味しいけれど、仕事や子育てで疲れている方々を癒すのはやっぱり「母ちゃんの味」。これが嬉しかったですね
授乳中だとお酒は飲めないし、食事ってある意味ものすごく大事な時間。単身で自由に動けるテレワーカーと確実に違うのは「衣食住の時間を子供に捧げている」ってこと。ここの痒いところに手を差し伸べてくれたのは嬉しかったです。やはり親子をターゲットにする際、企画者側にも子育て経験をしている方がいることで、こういうところに気付けるのだなと感じました。


結論、ワーケーションっていいね。
色々あーだこーだ書いて来ましたが、シンプルに言ってワーケーションっていい。もちろん工夫は必要かもしれないけど、知らない地域に少しホームのような場所ができて、ちょっと疲れたなと思った時にいつでも帰れる。そんな気分にしてくれる要素が多いなと思いました。「移住と観光の間」のような感覚。
おもてなしばかりで緊張しちゃうのではなく、適度に放っておいてくれて、適度に関わってくれて。忙しさにかまけてなかなか見過ごしがちな時間を呼び起こしてくれる良いきっかけ作りになるなと改めて感じました。
そして、それを親子でやるというのは、やっぱり子供たちの笑顔も見れるし、親としても嬉しい時間。親も子ものびのびとできる親子ワーケーションがもっと増えて、横に繋がれば、親子ワーケーションホッピングもできるかも?!
離島でもこんな「移住と観光の間」の時間を過ごせる場が増えるといいし、そんなサポートをしていきたいなと感じました。
